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| 「揺れるタクシー規制緩和策」 | |||||||||||||||
平成14年2月に道路運送法が改正され、需給規制撤廃でタクシー事業の新規参入が30数年ぶりに認められ ることとなった。3年経った現在、新規参入事業者、既存事業者の増車を含め全国で1万数千台、東京でも規制 緩和以前より千数百台規模に増えている。景気低迷が続く中、全国各地の都市部では供給過剰状態が慢性化 し、営業収入の低迷で、労使双方から再規制を求める声が高まった。3年経った今、行政機関も再規制要望の強 さに、規制緩和策の検証を始めるようだ。
み出し、利用者に更なるサービスと利便性を提供する趣旨がある。近年バブル崩壊後の長引く景気低迷も底を打 ち、回復傾向に向かう兆しはあるものの、業界は未だに需要が低迷している状態が続いている。行政もそんな中で、 街にタクシーが溢れ、安全運行に適正を欠く等の懸念を持ちながらも、利用者に歓迎され喜ばれるタクシー事業を 目指し、事業者に新たなサービスで需要の掘り起こしを期待して、緩和策を講じた。しかし、残念ながら需要の拡 大には繋がらず業界は混沌とした状態が続いている。 では、東京特別区(23区・武蔵野市・三鷹市)の現場では、規制緩和後どのように様変わりしたのであろうか。 ハンドルを握っている現場の目線で見てみたい。 ビジョン 真新しい車両に、見たことのない行灯のタクシー会社が随分増えた。ガソリン車と思われるグレードの高い車種で、 けっこうくたびれた中古車両を使用しているタクシー会社がある。また、京都、九州、名古屋からの会社もある。それ らは、いずれも新規参入組だ。規制緩和以前の既存会社は、会社により違うが、保有台数に対し運転手不足の ところもある。そのため、増車・減車を繰り返しているようだが全体的には増車となっているようだ。 東京特別区(23区・武蔵野市・三鷹市)事業区域市場の営業形態は、流し営業が主流で収益を上げられる市 場だ。新規参入組の会社をみていると新たなビジョンで営業展開しているところもあれば、単に人と車を揃えただけ で市場に送り込んでいる会社もあるようだ。後者は、どう見ても規制緩和以前の既存タクシー会社同様に規制緩 和策の趣旨に逆行する会社にしか映らない。流し市場を荒らし、多すぎるタクシーに拍車をかけるようなものである。 こんな旧態依然の会社が現れるのも規制緩和なのである。自由競争だからしかたがない。 真っ先に東京に乗り込んだ関西大手の会社などは、乗務員の質の高さなどを売り込み、地道に顧客を獲得して いる。更に、成田空港までの定額運賃による運行も着実に成果を得ているようだ。なぜならば、筆者が営業中によ く見かけるからである。東京大手四社は、顧客を奪われてしまったのだろうか。 実態 日本のタクシーの質は、諸外国と比較して優れていると言うものの、実際運転手の質は、まだまだであろう。未だ に挨拶、お礼の一言さえも言えない運転手も多い。また、地理不案内による苦情も絶えない。これでは、需要の 拡大に繋がるはずがない。ユーザーの目は厳しい。 長年行政による保護下におかれていたつけである。今回の規制緩和策は、一向に質が良くならない業界に対し てのテコ入れであり、業界の怠慢であったと捉えるべきであろう。また、日本のタクシー史上、業界が魅力ある事業・ 会社に発展することが出来なかったと断言してもよい。 働く誰もが、安定した将来性のある会社に就職したいものだ。これまでのタクシー業界の雇用体質を見ていると、 一昔前のような日本の多くの企業が実施していた終身雇用制度ほど、日本のタクシー会社に合っているのではな いだろうかと思ってしまう。愛社精神が培われ、日本の高度成長期時代を築き支えた。それとは裏腹に、タクシー 業界の雇用の歴史はタクシーが花形だった時代を除き、過重労働に対して賃金の低さに加え、乗務員の使い捨 て感覚が当たり前であったと言っても過言ではない。門戸が広いのは良いが、他業種でドロップ・アウトした人達を 集め「お前らは、もう行くところはないだろう」と言わんばかりに、足元を見て低賃金で締め付けたと表現してもよい。 待遇が悪ければ愛社精神どころか、自分の仕事に誇りなど持てるはずが無い。そんなタクシーが走っているわけだ から、苦情は絶えず、需要も上がらない事も頷けるわけだ。 タクシーの仕事は、街を走っているタクシー1台1台が会社の顔である。会社の看板を背負い乗務員一人一人 が代表であり、社長のようなものである。仕事ができ、接客の出来る良い乗務員を確保し、将来に不安の無い雇 用体制が出来上がっていたならば、日本のタクシー乗務員はステータスとなり、世界に誇れるロンドンタクシーと肩 を並べていたことであろう。 今時代は変わり、若者がタクシー乗務員を就業の選択肢として入ってくる人も多くいる。そんな人達のため、夢と 希望が持てる魅力ある事業・会社になることを経営者一人一人が考えてもらいたい。
労使双方の圧倒的多数が行政の規制緩和策に対して反対し、再規制を訴えている。また、有識者も規制緩 和策は、失敗であったと明言している。共産系の労働組合も、何でも反対の共産党国会議員を立て訴えている。 果たして本当に失敗だったのか。 確かに競争相手が少ない方が、どんな業界でも歓迎に決まっている。利益を独占できるからだ。しかし、先にも 述べたようにタクシー業界の実態を振り返った時、このまま再規制をしたならば元の木阿弥だろう。タクシー業界に とって総量規制は、重要な事である。しかし、規制緩和策といっても、需給規制を撤廃して新規参入を認めただ けの事である。特殊な業種を除き、他業種産業での新規参入は恒常的なことだ。市場競争に耐えられない会 社は、倒産する。 市場競争原理。例えばユーザーは、同じ品物を購入する際お店を比較する。同じ値段であれば、愛想の悪い 店やアフターサービスの悪い店では購入しないだろう。タクシーにも同じことが言えるわけだ。規制緩和後、都内の タクシー事業者が、禁煙車両の導入や社員教育に力を入れ接客を向上させている会社も出ている。他社との差 別化を図り、顧客獲得に積極的だ。これこそユーザーに歓迎される規制緩和策の成功事例と言える。 営業収入が上がらないのであれば、何とか顧客獲得に努力するだろう。耐えられないのであれば台数を減らせ ばよい。稼げないとぼやくなら、辞めればよい。採算が取れず、乗務員の事を考えるならば大手タクシー会社の傘 下に入ることも出来る。 業界は、この規制緩和策がもたらした市場競争原理が作用し、本当の良い意味で淘汰されていくに違いない。
何事も事を始めるに当たっては、すぐには良くなるはずがないのは周知の事実だ。改革には当然リスクを負うし時 間も必要だ。ユーザーに歓迎されるタクシーにするには、どうすればよいのか。答えは簡単だ。 市場に出るタクシー1台1台が、プロの乗務員になればよいのである。 新人乗務員を、目先の利益や稼働率ばかりを考え、教育もしないで市場に出せば苦情になる。優れた教育を受 けても、待遇が悪ければ辞めてしまう。これまでの業界の根本を見直し、改革する以外に無いであろう。そのために は、業界紙の記事に案とし掲載されていたが、運転者資格制度の創設もよいかもしれない。個人タクシーの資格 並みとは言わないが、厳格なもので、法人タクシー運転者用にしてはどうだろう。
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