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「憧れの個人タクシー ―その裏にひそむもの─」
この道を生涯の仕事としていくならば、誰もが一度は個人タクシーを考えるだろう。私にとって個人タクシー とは「自由」を獲得したという事かも知れない。 自由に、好きな時間に仕事に出て、好きな時間に帰ることが出来る。誰にも文句は言われない。また、高級 車に乗り良い仕事をする。どれも実現できる事である。タクシードライバーであるならば、誰でもそれらを個人 タクシーに求め夢を抱くかもしれない。しかし、一見華やかに見える自由の裏には、非常にリスクが高いという 事を知っておいた方が良いだろう。自由ということが、錯覚させるのかもしれない。
残念ながら一部の個人タクシー事業者には、自分勝手に違法行為を平気で行っている者もいる。「自由」と いうことを履き違えている事業者達だ。「自由」とは、何でもかんでも自由という事ではない。 少し硬い話しになるが、自由について哲学者カントは、「倫理的自由として意志が感性的欲望に束縛されず、 理性的な道徳命令に服することで、自律と同義」としている。自律、すなわち自己管理といってもよいだろう。 国は、この道のエキスパートと自己管理が出来る人に対して個人タクシーの免許を与えている。自己管理とは、 個人事業主であるので自身の健康管理や事業全般に関する管理である。タクシー事業の関係法令を遵守し 営業するのは当たり前であり、自己管理ができない人は個人タクシーを目指すべきではないということである。
道路運送法の言葉に「1人1車制」とある。1人1台を条件に許可されるのが個人タクシー免許である。故障 したり事故を起こしたり、事故に遭ったりして修理する間は、代わりの車が無いので仕事をすることが出来ない。 また、交通違反で免許停止になればその期間も仕事は出来ない。病気になったりして仕事を休む事もある。 自分の車を動かさなければ収入はゼロなのである。このリスクは、他の業種と比べても非常にリスクが高いと いえよう。
スピード違反で30日間の免許停止処分を受けた事業者もいる。違法行為で運輸局から車両停止になる事 業者もいる。停止期間中は、収入ゼロである。特に交通違反による処分は一番多いのではないだろうか。私 の周りでもよく耳にする話しだ。月商100万円の実績があっても、30日間の免許停止になれば収入ゼロであ る。家庭崩壊になりかねない現実であるといえよう。 詳細な統計は採られていないが、この辺に近年の個人タクシー事業者死亡原因第2位の自殺が起因してい るのではないだろうか。稼動日数を確保するためには、リスクを回避しなければならない。全てが自己管理で ある。
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