| 営業日誌から 第1話 「中央官庁 霞が関」 8月××日 午後8時 港区赤坂 すっかり夜の帳につつまれた歓楽街赤坂。 流し営業で赤坂を走り、タクシー渋滞にはまりながらお客さんを探す。 赤坂通下りで背広姿の中年男性に手を挙げられる。 運転手の習性からか、お客様の身なりや容姿で何所に行くのだろうかと期待に胸を膨らませてしまう・・・・ ドアを開ける。 「すいません、どうも。三宿にお願いします。」 はい、かしこまりました。
スは誰もが嫌いであることは言うまでも無い。 矢継ぎ早にいろいろ話しかけられ会話が弾んだ。随分運転手に気を使っている人だと思った。景気の話から仕 事の話までいろいろ。尋ねると霞ヶ関の役人さんと言うことだ。近距離ということで気を使っているのだ。恐縮の極 みである。タクシードライバーの営業事情をよく知っているお客様だ。以前は遠方に住んでいたそうだ。運転手は 機嫌がいい(当然でしょう)。近距離の所に移り住んだとたん運転手に気を使ってしまうのだった。 「どんな職業であれ誰もが効率の良い仕事はしたいものです」 「運転手さん達の気持ちは良く分かります」 人間味溢れるこの言葉に安心したが、これでいいのか・・・・と考えてしまうが。しかし、あれこれ考えてもやはり行 き着くところは個人レベルの営業スタンスの問題か。
クデーは毎晩ここだけの営業で生計を立てている事業者も多いと聞く。好きで長時間並んでいるのだからいちい ち近い遠いで一喜一憂するなと言いたいが、この並んでいるタクシーが全て流し営業になってしまうと大変な事に なってしまう。想像しただけでゾッとする。 こういう人たちがいるから流しも出来ると思うのは自分だけではないだろう。 深夜残業は50代になってからも週3回はあるという。有名大学を出ているキャリア組が多い。若い職員は連日 の残業である。たまに深夜の銀座でも、お役人さんを乗せることがあるが家に帰ると思ったら、行き先は目と鼻の 先の霞ヶ関なのである。飲んだ上にこれから仕事とは大変だ。役人ということで国民から政治家にまであれこれ 叩かれているが、激務に耐え国民の為に頑張っている。
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