第11話

「個人タクシー事業者の孤独死」


先日同じ支部所属の事業者が自殺により亡くなった。親しくはなかったが何度か仕事でお世話になったことがあったの

で知っていた人である。たまに組合事務所で会うと挨拶をする程度だった。数年前には私と親しかった同じ支部の友人

も自殺で亡くなっている。どんな事情があったにせよ突然の訃報に、本当に残念でならない。自殺以外にも健康起因に

よる孤独死も増えている。事業者は必ず換金等のため組合支部事務所に週に一度、あるいは2、3週間に一度は顔を出

が、全然来なくなったので連絡してみても電話が繋がらない。そこで事業者宅に伺うと何らかの健康起因で亡くなっ

たというものだ。このあと身元引き受けの親族に連絡が付けばよいが、まったく手がかりが無く不明の場合もあり

合でも処置に苦慮する。先日もこういった孤独死で連絡先不明事案が再び発生したことから、組合事務所では今後同

じようなことがないように、事業者から事前に親族の連絡先等の提出をお願いしている。事業者が亡くなった場合には

廃業手続きと同じように組合では事務手続きや車両の処分等もある。このことから親族に連絡が取れないと困るのだ。

高齢者が多い個人タクシー。私が個タク開業でこの組合に所属してから16年目に入るが、これまで自殺、孤独死は数

件聞いている。事案が起きる度に「またか―」という思いである。個人タクシーという仕事は、孤独な商売なのであ

る。タクシー会社勤めでは、同僚との関わりが多いが、個人タクシーの場合は組合に所属しても、部活動などに入り他

の組合員と積極的に接しない限り家族以外と関わることが非常に少なくなる。個人事業主で自由を手に入れた個人タク

シーはライフスタイルで他人と関わらず独りになるのもまったく自由。無縁社会という言葉があるが、これはNHKで制作

キュメンタリー番組のタイトルで造語だという。無縁社会とは、単身者世帯が増えて、人と人との関係が希薄

りつつある日本の社会の一面を言い表したものだという。私の周りを振り返っても、兄弟も含め親族や友人知人に

身者が本当に多い。正に高齢化社会、単身世帯急増による無縁社会は急速に進んでいる。このことからも、他人に

惑を掛けないように生きていうちに自身が亡くなった後の処置を講じておかなくてはいけないと思った次第であ

る。

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